髄膜炎による後頭部頭痛

後頭部の頭痛と長期間の発熱は要注意。ただの風邪だと思っていたら、髄膜炎だったというケースが数多くあります。

髄膜炎の症状

髄膜炎とはウイルスや細菌の感染や寄生虫などによって引き起こされる感染症で脳と脊髄を覆う髄膜に炎症を起こす病気です。一見風邪に似た症状であることが多くあり、風邪による発熱や嘔吐、頭痛があります。頭痛は特に後頭部が強く痛みます。後頭部の頭痛だけではなく、首の後ろが硬くなる項部硬直(ケルニッヒ微候)の症状が現れます。

もちろん、髄膜炎により頭痛が起こるケースがあるからといって、頭痛の原因すべてが髄膜炎というわけではありませんが、風邪と勘違いして医者に診てもらうまで髄膜炎と気がつかないケースが多いです。例えば、先に書いた髄膜炎の症状に照らし合わせるとして、「風邪を引いて熱が出て、吐き気がして、後頭部が痛くて肩がこる」という症状の場合、普通は風邪による症状だとは思いますが、髄膜炎である可能性も否定できないわけです。

実際に私の友人でも髄膜炎になってしまった人がいて、やはり最初は風邪だと勘違いしていたそうです。ところが3日経っても病状が回復しないどころか悪化しているので、家族が心配して病院へ連れて行ったところ髄膜炎と診断されたとのこと。家族はてっきり風邪ではなくインフルエンザか何かだと思い込んでいたので髄膜炎といわれてそんな病気があるのかと初めて知ったそうです。

風邪すべてを髄膜炎と疑うのは、もちろん無理がありますが、その危険性があることは知っておいてくださいね。

髄膜炎の原因

もともと頭蓋骨の内側にある脳は病原体が侵入しにくい部分なのですが、血液などによってウイルスや細菌が侵入し、髄膜に炎症が広がると髄膜炎を発症します。糖尿病、心臓病、腎臓病、悪性腫瘍などを患っており免疫力が低下しているときに髄膜炎が発症しやすい傾向があります。

細菌性髄膜炎と無菌性髄膜炎

髄膜炎は大きく分けて2種類あり(他の分類方法もあります)、髄液からインフルエンザ菌やブドウ球菌、肺炎球菌、大腸菌、髄膜炎菌、結核菌などの細菌が見つかると細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)と診断され、見つからなければ無菌性髄膜炎(ウイルス性髄膜炎)と診断されます。たいていは無菌性髄膜炎であるケースが多いですが、細菌性髄膜炎の場合は、完治した後に難聴やてんかんなどの後遺症を残すことがあります。

髄膜炎の可能性があるならスグに治療を

39度近くの発熱がなかなか下がらず、激しい頭痛、特に後頭部の頭痛があり、顎を胸に付けようとすると首の付け根(うなじ)が痛い場合、その病気は風邪ではなく、髄膜炎の可能性が非常に高いです。一刻も早く医師の治療が必要となります。特に細菌性髄膜炎で意識低下と痙攣がみられると、髄膜炎から脳炎になる可能性が高くなり、後遺症が残る可能性だけでなく、生命の危険が伴います。

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頭痛分類

片頭痛

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緊張型頭痛

緊張型頭痛の症状とは?何に注意して対処したらよいのか?肩こりやめまい、片頭痛と合併しているケースもあります。ストレスを軽減しリラックスして楽になっても、その場しのぎだけでは安心できない頭痛です。

頭痛総合

何科で治療してもらえば良いのか迷いますので、症状を分類し、原因、病名、受診科などに総合的にまとめました。脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など生命に危険が伴い緊急を要する頭痛から、その他疾病に起因する頭痛まで。

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